TaxFreeOnline.jpと愛知県との取り組みが、中日新聞オンライン「中日BIZナビ」に掲載されました
中日新聞オンライン(中日BIZナビ)掲載紙面 [2023年6月12日(月)掲載]
名古屋市で2024年10月から本格稼働する国内最大のスタートアップ支援拠点「ステーションAi」。国内外から1000社が集まる見通しで、準備段階の現在は176社(4月5日現在)が登録する。今は日の目を見てなくとも、今後世の中を輝かせることが期待される。そんな「次世代の星」たちを取り上げる連載「ステーションAiの鼓動」。第4回はアフターコロナを見据えた訪日外国人向け免税ECサービス「Tax Free Online.jp」を展開するアイエントを紹介する。
「オンラインによる非接触型免税サービスは、外国人観光客の消費行動の活発化を促し、日本経済に貢献する。免税商品の無人受渡しを実現し、人手不足に悩む地方の免税比率向上にも貢献したい」
■ありそうでなかった、スマホ完結型
アイエントが開発したTaxFreeOnline.jpは端的に言うと、訪日外国人がお土産品を旅行前や旅行中にインターネットで注文し、日本国内の宿泊施設や空港で免税品として受け取り、国外に持ち帰ることができるサービスだ。注文から決済、免税までの手続きは自分のスマホで完結する利便性が特徴で、発注したすべての商品がホテルか空港のカウンターに届く仕組みだ。必要な情報処理のプログラムとシステムはアイエントが特許を取得している。楽天で新サービス開発部門の責任者も務めた大森智人CEOが企画した。
出発前や渡航中の機内でおみやげを吟味できるうえ、免税手続きのために専用のカウンターに並ぶ必要もない。「お土産のために費やしていた時間や重い荷物といった負担を軽減し、観光や体験など『コト消費』を楽しんでもらえる。DXで実現する新たなおもてなしの形だ」とPR担当の大森潤輝さんは話す。
サイト自体は楽天やアマゾンのようなECモールのイメージで、お土産の販売者は「出品者」としてアイエントと契約。受け取り窓口となる宿泊施設はアイエントと業務委託契約を結んだ「一般型輸出物品販売場」として国税庁に登録する。宿泊施設には取扱量に応じた手数料が支払われるほか、サービスを宿泊客に勧めた場合にもマージンが入る仕組みとなっており、「コロナで痛手を受けた観光業に恩恵を」とサービスを設計した。
「商品がホテルや出発空港に届くため、旅行中に立ち寄らない地域の商品も持ち帰ってもらえる。その商品が気に入れば、次の来日時に、その地域が選択肢に入る可能性もある」
TaxFreeOnline.jpの仕組みは、近年顕在化しつつある「不正免税購入」の回避にもつながる。購入客情報や購入額、免税額などがデジタル化され、オンラインで国税庁のデータベースにつながっているほか、商品ごとに同時購入数の制限を設けることも可能で、そもそも不正を購入前に抑止することができる。「免税手続きの利便性と不正防止を両立できるサービスとして展開していきたい」と考えている。
■追い風からの逆風
開発は2018年にさかのぼる。翌年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会や20年の東京五輪を控え、年間の訪日外国人誘致4000万人とインバウンド消費8兆円を実現すべく国を挙げて取り組んでいた時期。「手軽に利用できるECサイトの構築」と「高い税法上の制限のクリア」という矛盾した目標を実現すべくシステムやサービスを作り込んでいった。そしてラグビーW杯の熱気もさめやらぬ中、2019年11月5日にサービスが始まった。
ところが、サービス開始から半年後の2020年。新型コロナウイルスの広がりにより、日本からインバウンド需要が事実上蒸発してしまった。追い風から、一転して逆風が吹き荒れた。すでに別のDX関連事業を複数展開していた同社には別の収益源があったことから、「アフターコロナにこそ必要なサービスになる」と信じて待ち続けた。23年3月9日には、中部国際空港(愛知県常滑市)に空港初となる免税カウンターを開設した。アフターコロナを見据え、同社が再定義したサービスの目的はこうだ。
「必ず再生させなければならないインバウンド市場復活のため『新しい免税お買い物様式』として、非接触、密を避けるサービス」
この考え方は、出品登録が無料で、宿泊施設には手数料が落ちる仕組みとして形になった。
■さあ、反転攻勢だ
ただ、この仕組みではアイエントに落ちる利益がまだまだ少ない。事業継続のため、どのように収益化していくのか。大森潤輝さんは今後の展開について「データビジネス」と「越境ECへの連動」を挙げる。
「データビジネス」はサービスの利用履歴から「どの国・地域の人が何を買い、どこへ行ったか」をビッグデータとして蓄積して可視化し、訪日客の好みや消費動向を知るデータとして様々な業界にデータを提供すること。「越境ECへの連動」は、日本で購入した商品の情報をもとに、購入者の自国(自宅)に商品を配送すること。アイエントの最終目標は、この2点の実現だ。出品者はTaxFreeOnline.jpへ商品を登録すれば、購入者の希望次第でそのまま越境ECへつながることになる。
同社ではより気軽に利用してもらえるよう、受け取り場所の無人化を短期的な目標に掲げる。ただし、これには「免税品は対面で引き渡す」という税法の壁がある。現在はこの「対面」の定義を巡って、関係機関と協議を重ねている最中という。
もう一つの課題がコロナ禍で制限を受けた、海外でのPR活動だ。大森潤輝さんは今年の展開についてこう話す。
「反転攻勢に向け、今年は旅行エージェントとの連携や観光業界の見本市への出展、オンライン広告の展開など海外で積極的にPRし、オンラインでのお買い物で免税になるという概念を理解してもらう。勝負の夏がやって来る」
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