投資家瀧本哲史氏へ代表取締役大森智人より追悼と感謝のコメント
弊社株主である投資家瀧本哲史氏が8月10日に逝去されました。
追悼と感謝を込めて、弊社代表取締役の大森智人から、皆様へ以下コメントを発表させていただきます。
皆様方
この度、弊社株主であり私の最大の理解者である瀧本哲史が逝去いたしました。(以下、日頃からの呼び名である「瀧本さん」と記載させていただきます)
私はこの事実をこの1ヶ月近く、口に出せませんでした。
口に出したくなかったし、そもそも信じる気もなかったように思います。
しかし、本日2019年9月2日、瀧本さんの想いが込められたひとつの会社が生まれました。
このことを瀧本さんには報告しなければいけないですよね。
だから、自分の気持ちを整理するため、この事実を受け止めるため、瀧本さんへの感謝の気持ちをお伝えするのは今日しかないと思いました。
私が瀧本さんと言葉を交わした最後の日である8月8日、そして、私と瀧本さんの8年間を振り返ることで、私の瀧本さんへの感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。
それは、昨年の11月21日。
瀧本さんより、「実は京大の高校生向け授業で、高校生向けのプロモーション事業の提案があり、大森さんの意見をちょっとだけいただきたく女子高生3名と会っていただきたい。場所はいつものスタバで」というメッセをもらいました。
瀧本さんから背景を伺い、(背景といっても、瀧本さんの鋭く短い説明なので一言ですけど)早速女子高生3名からプレゼンを聞いた。
女子高生たちは、いきなりMacBookを鞄から取り出し、Keynoteで書かれた資料を使い、「私達高校1年生です!」とプレゼンを始めました。
高校1年生がこの思考力と説明力、そして資料にまとめる力があるのか・・とあっけにとられる私の横で、瀧本さんが「どうですかね?大森さん興味あります?」って。
そのアイデアと彼ら(瀧本さんは”彼女ら”とは言わず、いつも”彼ら”でした)の熱意は、2年生になった女子高生3名が取締役を努め、渋谷から高校生が飛び立つひとつの会社として本日形になりました。
私が瀧本さんと最後に交わした言葉は、8月8日12時02分、
大森「法人登記について、3つの資料を添付するので確認お願いします。発起人は僕で良いですか?」
瀧本「発起人は大森さんで良いです」
大森「定款問題なさそうですか?」
瀧本「問題ないです」
大森「では、定款を司法書士に提出します」
瀧本さんから打ち上げられた「大森さん興味あります?」という問いかけに対し、ひとつの結論が出た瞬間でした。
そして今、画面の最後には、瀧本さんの既読がつかない8月9日の私からの問いかけがあります。
寂しすぎます。
私と瀧本さんとの出会いは、私が楽天株式会社を退職しこんなサービスをやりたいと思っていると説明させていただいた2011年冬でしたね。
当時45歳(瀧本さんは39歳だったんですね)
私の、これまでに出会ったこともない雰囲気を持つ瀧本さんの印象は、「凄い方なのだろうけど、僕とは合わないな〜」でした、実はね。
そのあと、もう一回お会いした時、「出資しますよ!」と言っていただき、僕は正直びっくりで、あんなにだめ出しされたのに出資してくれるの・・・でした。
今ならわかります。
なぜ、瀧本さんが僕を応援してくれたのか。
それから8年間、3ヶ月に一度は顔を合わせて報告や相談、そして方針を聞いていただきました。
瀧本さんからの指摘や、なにより「いいですね〜」という言葉は私にとっては本当に勇気付けられました。
そして、瀧本さんは「僕は明日のことはわからないけど10年先はわかります。大森さんのサービスが事業になるのは10年かかるものだから投資したので、今の状況は悪くない」って言ってくださいましたね。
瀧本さんには見えている弊社の事業、世の中は確実にその方向に向かっています。
だからこそ私は、そのタイミングを逃さず、満を持して、準備を怠らずにやれているのか?をいつも自問自答し、瀧本さんの言葉の節々にヒントがあると思い返しています。
振り返ると、第一印象とはまったく違う瀧本さんを感じることができましたし、そんな関係性を築けたことは私にとって最大の財産です。
だって、あの瀧本哲史に冗談をかまし、ツッコミを入れられる関係だったのですからね。
そうです、瀧本さんは本当に温かく、可愛い笑顔で笑う人でした。
これだけは、6つも年上に免じて上から目線で言わせてください。
最後に。
出資していただいたときの事業について8年、新規事業を立ち上げる構想を話しはじめて2年、そして、瀧本さんから持ちかけられ関わることになった高校生による高校生のためのサービス、どの話も瀧本さんの言葉を忘れることは一生ありません、お誓い致します。
あなたが、若い世代に伝えたかった想いは、こんな6つも年上のおじさんの心にまで突き刺さっています。
偉大すぎるあなたが残してくれたものは、ほんの少しだけ受け継ぎ、他の誰かひとりにでも伝えていきたい。瀧本哲史の生の声をそのまま伝えてあげたい、そう心から思っています。
本当にありがとうございました。
いつも、スマホを見ながら聖徳太子のようにすべてを聞き入れ瞬時に反応していた瀧本さん、これからは少しゆっくりとされてくださいね。
そしてまた会いましょうね。
ありがとうございました。
2019年9月2日
アイエント株式会社 代表取締役 大森智人